物語が組織を強くする

経営戦略

この記事の所要時間:420

3年前。私は、経営企画部門で予算や中期経営計画を作る仕事をしていました。
それまで、10年以上、経営企画部門に所属していたわけですから、キャリアだけは相当長いですね。

その長いキャリアの中で、私が常に悩んでいたことは、
中計を作ったけど、現場が理解してくれない・・・。
「せっかく作った予算を現場が全然達成しないので、予実が狂う・・・。」
といったことでした。

あなたが予算を作ったり、中計を作ったりする立場にあるならば、同じように感じた経験が一度はあるのではないでしょうか?

結局、根っこにあるのは、
作った中期経営計画や予算を現場に理解してもらえない
という思いでした。

その頃の私は、なぜ理解できないかが理解できなかったんです。
しかし、今ではすっかり理解しています。問題は私側にあったんです。

私の計画には、物語がなかったんです。
もう少し簡単に言うと、「何をしないといけないか?」は説明していても、「なぜ、そうするのか?」をうまく説明できていなかったんです。

「なぜ?」を説明するために重要なこと。
それは、「なぜ?」に対して答えることではありません。
それよりも、「なぜ?」を象徴する「物語」を伝えることが重要なんです。

そして、
自社の「なぜ、そうするのか?」を物語を通して理解させ、それを活かした戦い方を自発的に現場が行うことが重要です。

そこで、今回、物語をうまく現場で活かしてもらうための仕組み化について、お話しをしたいと思います。

ルール化のススメ

「ルール化」と聞いて、多くの人がgoogleの「20%ルール」を思い浮かべたのではないでしょうか?
GmailのもとになったカリブーやGoogleマップといったプロダクトは、この20%% ルールから生み出されたわけですから、このルールの破壊力はすごいものがありますね。

この20%ルール。
次の3Mの「ポストイット誕生の物語」を聞けば、より説得力をもって、導入できるのではないでしょうか?
きっかけは、強力な接着剤を開発中の研究員が、逆に「とても接着力の弱い接着剤」を生み出したことでした。。
後年、これに目をとめた別の研究員が画期的な用途を着想したのです。

ある日曜日。
聖歌隊のメンバーだった研究者は、教会で讃美歌集を開きました。

すると・・・。
ページからしおりが落ちました。

瞬間、脳裏を「とても接着力の弱い接着剤」がよぎったのです。
「あれをしおりに付ければいい!」

試作品を完成させた研究者は、これをしおりとしてだけでなく、貼ったりはがしたりできる画期的なメモ・ノートとして商品化しました。

そんな物語です。
3Mでは、こういった物語が起きやすくなるルールをもうけています。
それが、 15%ルールと呼ばれるもので、業務時間の15%を自分の好きな研究に費やすことを認めているんです。

このように、物語をルール化することは、現場への浸透に非常に効果的です。

ロールモデルが会社を救う

物語を信じ、それを体現することで成功した人物」が身近にいれば、現場は「成功した人物」をロールモデルにしながら、自分たちの日々の業務に落とし込んでいきます。
会社の価値観を象徴する人物を設け、ロールモデルとして活用することはとても効果があります。

昔、野村證券のよくできる営業マンが話してくれました。
野村證券では、優秀な2年目以降の新人に新卒社員のメンターをさせるそうです。
面白いことに、メンターになることで給与が上がったりするわけではないらしいのです。
それでも、メンターになることは、非常に名誉なことらしく、メンター制度はうまく機能しているとのことでした。

野村証券では、優秀の定義をメンター制度によって見える化し、新人のロールモデルとして、設置しているんです。

裁量権が物語を育てる

従業員が物語を体現するには、現場の従業員に裁量権を与えることが重要です。

社員への裁量を与えることで、成功している企業にザッポスがあります。
ザッポスは、靴のオンラインショップを経営している会社ですが、カスタマーサポート部門の対応が神対応なことで有名な会社です。

詳しくは、「ザッポスの奇跡」をご購読いただきたいのですが、
電話対応の最長記録が7時間以上などということは、現場の裁量がなければ、不可能でしょう。
カスタマーサポート部門の日々の神対応が物語になり、さらに日々の対応の質を高めていくとともに、その対応を支える裁量権が十分あるということでしょう。

最後に

人は、「すべきこと」よりも、「なぜするのか」を伝えられることを好みます。
ですので、「なぜ?」を理解してもらうための象徴的な「物語」を語ってください。

そのためにも、まずは、あなたの会社の強みを象徴する物語を見つけてください。
その物語と中期経営計画などが有機的につながることによって、現場の理解が得られ、現場が自ら考え、行動する強い組織が出来上がるはずです。

以上、この記事が、御社の会社を、「物語」をもった強い組織づくりの一助となれば、幸いです。

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