結果偏重の危険性:プロセスの重要性とは?

2017年5月26日コラム, 経営戦略

この記事の所要時間:210

功利主義

ジェレミー・ベンサムという哲学者が居ました。

ベンサムは飛び抜けた知能を持つ天才で、政治哲学である「功利主義」を完成させました。
功利主義を簡単に表現すると「最大多数の最大幸福」が「正しい行い」という原理です。

医療におけるトリアージ

トリアージを考えてみましょう。
医療におけるトリアージとは、患者の優先順位を付けることです。
助かる見込みが無い患者と軽症な患者は治療を後回しにし、助かる見込みがあり、緊急を要する患者から治療を行います。
現代医療の大原則は無差別・平等ですから症状にかかわらず受付順などにすべきですが、特に災害時においては患者に比べ、医者の数が相対的に少なくなるため、近年は例外的に認められています。
阪神大震災でトリアージが整備されていれば、500人は助かった、とも言われています。

ともかく、トリアージを行うことで助かる人が多くなりますから、功利主義では「正しい行い」ということになります。

こういった考え方を用いて各種政策の意思決定をすることで、より良い世の中になるとベンサムは考えたのです。

功利主義の不具合

しかし、功利主義を用いると、しばしば道徳的直観を無視したものが「正しい」とされるようになります。
マイケル・サンデルという政治哲学者が数年前にプチブームになりましたが、彼はトロッコ問題や臓器くじを引き合いに出し、功利主義を批判します(これはサンデルに始まったことではなく、功利主義批判の定番パティーンです)。

ここでは臓器くじを考えてみます(少しグロいのでご注意ください)。

臓器くじ政策とは

国が公平な「くじ」で健康な人をランダムに一人選んで殺します。
そして殺された人の臓器を全て取り出し、臓器移植が必要な人々に配ります。
従って、健康な一人は死にますが、臓器移植を必要としていた複数人が助かります。

功利主義では、この政策は「正しい行い」という答えになります。

あなたは正しいと思いますか?もし、あなたが違和感を覚えるなら、それが道徳的直観です。
(ちなみに、トリアージでも違和感を覚える人は居ます。)

功利主義から得られる教訓

功利主義が問題とされる点は「結果」を重視する考え方(帰結主義)です。
事前に幸福の総量を見積もることは、結果から考えているわけですね。

これは企業活動においても同様ではないでしょうか。
成果主義やある種の数字至上主義は結果から考えていますが、過程も含めて考える必要がある、ということを功利主義は逆説的に教えてくれているように私は思います。

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