この記事の所要時間:430

そもそも戦略理論とは何か?

世の中には様々な戦略理論が乱立していますよね。もはや現代は戦略のインフレです。

そこで、まずはそもそも戦略理論が必要な理由を考えましょう。
端的に言えば、戦略理論とは思考のフレームワークであり、何を考え、何を考えるべきではないか、というガイドラインのようなものである、と考えると良いでしょう。

通常、事業を検討する際には、様々な要素が複雑に絡み合った事象を取り扱うことになります。

例えば、ECショップを一つ作るにしても「品揃えはどうしよう?」、「価格はどうしよう?」、「ページデザインはどうしよう?」、「アフターフォローはどうしよう?」、「売上目標はどうしよう?」などのように、性質が異なるものを同時に扱わなければなりません。

しかし、人間の頭脳は一つですから、同時に複数の性質の異なる物事を考えることは極めて苦手です。ここに戦略理論が必要な理由があります。
戦略理論は「これを実践すれば必ず成功する。」というものではなく、思考を助けるものであり、最初に何を考えるべきで、何を考えるべきではないかを明確にするものです。

大事なことなのでもう一度言います。ある戦略理論を用いると「必ず成功する!」というものは存在しません。
そんなものがあるなら、みんなやってますので全員成功するわけです。
ということは、言い換えると誰も成功しないということなのです。

ともかく、戦略理論は過去の賢人が様々な事例により導き出した思考方法のフレームワークであり、これを我々が使うことで思考が整理され、論理建てて考えられる、ということが最も大きなメリットです。

中小企業で使いやすい差別化戦略

このページをご覧になっている方の多くは中小企業にお勤めか、中小企業を経営されている方であるはずです。

中小企業における戦略は弱者の戦略を採ることがほとんどですね。大資本があるわけではありませんので、ニッチな市場や大手がやらない手法を用いて、局所戦に持ち込むことが戦略の大枠になります。

つまり、差別化戦略ということになるでしょう。

なお、差別化戦略にも様々なものがあり、有名なものとしてはマイケル・ポーターや、マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマのものがあります。

ここではマイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマの差別化戦略についてご紹介します。
この戦略理論はお客様の購入動機の必然性を作り出す、ということにウェイトを置いています。
より具体的には「密着軸」、「商品軸」、「手軽軸」という3 つの軸を用いて差別化を考える、というものです。

また、各軸にはそれぞれ「型」が2 つ存在します。

手軽軸 密着軸 商品軸
価値 手軽に、安く 自分のこだわり 良い商品、最先端の商品
費用 とにかく安く こだわらない 糸目をつけない
スピード 早く! 多少は待てる 手に入るなら待ってでも
商品 そこそこ 自分仕様 最新で高品質
サービス 不要 気配り 最高のものを

手軽軸

価格型手軽軸

大量生産・大量販売・大型投資で規模の経済に基づいた最低価格を実現する。大手の事例としてはマクドナルド。

利便性型手軽軸

早い提供スピードと面の広い販売チャネルなどの買いやすさ・利便性で差別化する。大手の事例としてはAmazon。

密着軸

顧客密着型密着軸

顧客とコミュニケーションを深めて関係を築き、深い理解に基づく提案をする。大手の事例としてはデパートの外商。

カスタマイズ型密着軸

顧客に個別化された、顧客が望むモノとサービスを提供する。大手の事例としてはハーレーダビッドソン。

商品軸

最新技術型商品軸

最新技術をいち早く導入し、自社商品・他社商品を問わず早期に陳腐化させる。大手の事例としてはApple。

最高品質型商品軸

最高の原料と最良の製法を惜しみなく投入し、最高の製品・サービスを提供する。大手の事例としてはハーゲンダッツ。

 どの差別化軸を採用すべきか?

差別化軸の選定は最も重要な社長の仕事です。

企業の大方針に関わるテーマですので、慎重に検討なさってください。冒頭でも記載したとおり、何らかの戦略理論を採用しても必ず成功するわけではありませんが、商品から組織まであらゆるものが差別化軸により全て決定されます。

ちなみに、中小企業であれば「密着軸」を使用するのが勝ちやすい、とは言われます。
特にハイテクや特殊な技能が必要ない分野でのビジネスであれば、小回りの効きやすい中小企業ならではのフットワークの軽さを武器として、顧客との関係を緊密にし顧客生涯価値の増加を狙う、というわけですね。

留意事項

一つの戦略軸を選んだら、他の軸は気にしなくて良いのか?とよく聞かれます。

これはNGです。選択した軸以外も平均的な同業他社と遜色ない程度にしておく必要はあります。商品軸だからと言ってあまりに暴利とも言える価格では売れませんし、密着軸だからと言って時代遅れの商品では売れません。一定のバランスは必要ですので、ご注意ください。

まとめ

今回はマイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマの差別化戦略である3つの軸について簡単にご紹介しました。

経営戦略を考える際に、なんらかのヒントになれば幸甚です。

Pocket